幾つかの月日が流れた。暁晶の欠片はいくつかが完璧に戻り、塔は再び守りの光を放つ。人々は選び直し、傷を抱えながらも前へ進む術を見つけた。ヴェルドは核の側に留まる決意をし、完全な敵として滅ぼされることはなかった。彼の存在は警告となり、また守りの一端としての教訓となった。
旅団の仲間たちはそれぞれの道を歩み始める。ユイはアークで写本の修復と詠唱の教育を行い、古語を守るための図書館を作る。ガロはかつての仲間たちを追い、レオンの背後にある更なる陰謀の痕跡を洗い流すための旅に出る。トウヤは路地で小さな劇団を作り、子どもたちに物語と注意深い選択の大切さを教える。リナは巡礼を続けながら、失われた記憶を新しい儀式で埋めていく。カイは港に戻り、だが以前とは違う。彼は短剣を海辺の杭にかけ、時折遠くへ旅に出ることもある。黎光の担い手としての責務は終わらないが、彼は人々の声に耳を傾けながら小さな光を分け与える道を選んだ。
ある夕暮れ、カイとリナとトウヤとユイとガロが再びノースリーフの桟橋に集まった。海は静かに光り、遠くにヴェルドの影が浮かぶ。彼らは笑いを交わし、互いの肩を叩いた。
「これで終わりってわけじゃないな」――トウヤが言う。
「終わりは、いつも次の始まり」――ユイが補う。
カイは波を見つめ、短剣を軽く握った。「でも、今日ここにいるのは、一つの区切りだ。これから先も、誰かが選択を迷うとき、僕らは名を呼び、手を差し伸べる」
彼らは夜に灯る小さな祭りへ向かった。子どもたちが歌い、老人が昔の名前を口にする。焚き火の周りに集まる人々の顔には、確かな輪郭があった。忘却の影は消えないが、人々はそれを恐れずに選び直す術を学んでいた。
0 件のコメント:
コメントを投稿